いつもの笑顔で。(高・岡)
ソドムキングEND後の話。ちょい暗めです。
あれ、高浦×岡田っぽい(笑)?
高浦は受けなんだけどな・・・いや、岡田も可愛いけどな・・・
岡田は足を止めた。
土産のお菓子は高浦がよく喜んで食べていたもので、
それを小脇に抱え直すと深呼吸をしてから、個室の白い扉に手をかける。
「高浦」
「岡田警部!」
白い寝間着のためか、以前と雰囲気が変わったと思うのは気のせいだろうか。
ベッドから体を起こして笑う高浦に、「やはりいつもと変わらない」と
岡田は安心した。・・・大丈夫、いつもと変わらない。
「調子はどうだ?」
「ええ、もうすっかり。今すぐにでも現場に復帰できますよ!」
「一週間は安静にと言われたんだ。大人しくしていろ」
「はい・・・」
しゅんとした高浦の膝の上に土産を乗せてやると、
パッとその表情が明るくなる。
「ありがとうございます!」
「いや。・・・なあ、高浦。」
「はい?」
「あの・・・・事件の事、なんだが・・・」
「ええ。何でも聞いてください。」
「え?あ、そうか?」
少し拍子抜けしたが、あれから5日経った今、
何度も事情聴取はされただろうし、もう割り切ったのだろうと考え直す。
気にしているのは自分だけだったのだ。
そう、いつもと変わらず、接すればいいのだ。
「いや、聞きたいというか、他の被害者達の事なんだ。
それとも、もう聞いているかな?」
「ええ大体は。子供達と点野さんは、家の近くの病院に入院・・・
大泉さんは青田に刃物で切り付けられ、死亡・・青田は精神病院に搬送されたと。」
「そうだ。」
「・・・・すみません、私は、犯人を取り押さえるため・・・いや、
人質の皆さんを守る為に乗り込んだというのに・・・・・
結局途中から意識を失い、何もできず、大泉さんを死なせてしまった・・・」
「何も出来なかったのは俺達も同じだ。何より、あの時お前の突入を
許してしまった事は、私に責任がある。」
「そんな・・・」
首を振り、もう一度「すみませんでした」という高浦の頭の上にぽんと手を置く。
高浦は俯いて黙った後、ハッと何か思いついたように顔を上げた。
「あの、退院後に、彼らと接触するのは許されるでしょうか?」
「人質になった人達にか・・?下手に接触すると、あの事件を思い出して
辛い思いをするんじゃないか。あの人たちも、おまえ自身も」
「大丈夫です。私は、会いに行かなければいけない。」
「誰に?」
「あの人にです。」
あの人?尋ねる前に、高浦がにこりと笑う。
岡田は高浦の、どこか少年のようなその表情が好きだった。(もちろん、人としてである。)
しかし、何故今そうやって笑ってみせるのか。
「そういえば」高浦の言葉に、岡田の感じた違和感が遮られる。
「岡田警部、あの事も、すみませんでした。」
「あの事?」
「事件の・・青田の命令で、外に出たときの・・・」
「ああ」
苦笑いを見せた岡田に、高浦は不安げな表情になる。
やはり高浦も気にしていたんだ・・当たり前だけれど。
しかしあれは青田に命令されて、人命を守るためにやったことだ。
あそこに居た誰も高浦を責める事なんて決してしないし、
その後の、性行為と言うには悲しすぎる行為に参加した部下達も
あんな事は忘れて、前と同じ、信頼する仲間として接すると言っていた。
「すみません、でした・・・」
「気にするな。もう忘れた」
「いえ、でも」
「高浦・・・」
「でも、あの時警部、出せなかったですよね。」
高浦のその言葉を岡田が理解するのに、数秒かかった。
今までの話の流れからは想定できない高浦の言葉。
「出、す?」
何をと聞かなくても解かっていた。
「すいません・・あの時はまだ慣れていなくて、下手で・・・
でも、もう大丈夫です。あの後沢山同じ事をしたので、
今度はちゃんと、警部を気持ち良くしてあげられるはずです。」
その
その笑顔でそんな事を言うのか。
違う。何を言ってるんだ。
高浦は何を言ってるんだ。
「た・・かうら・・・何を言ってるんだ?」
両肩を掴むと、その上にそっと手を添える。
触れられた箇所から高浦の熱が伝わる。
高浦は、笑っている。
「だって、人一人満足させられないようでは、
あの人に呆れられてしまう・・私はちゃんとできます。」
「あの人?・・・高浦、もういいんだ。もう命令に従わなくていいんだ。
青田は捕まって、精神病院に」
「青田は関係ないです。私達は、自分の意思であの人に従っている。」
私達とは、人質となった者達の事だろうか。
青田じゃない?じゃあ誰だというんだ。
そんなことより、やはり高浦の心には、あの事件は相当深い傷となり
今も高浦を縛り付けているのだろうか。でなければこんな事
「だから警部、もう一度あの時のように、やらせてください。
・・・ちゃんと全部飲み込みます。」
そう言いながら、高浦の手が岡田のズボンにのびていく。
岡田は、高浦の肩を掴んだまま、その笑顔から目を離せず、動けないでいた。
大好きな、いつもと変わらない高浦の笑顔を。
2006.07.16 | Comments(0) | SS