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船の上(all)

これは、前に好き勝手妄想しまくった【無人島パラレル】のSSです。
まるっきりパラレルです。

※例の事件が発生していないのに、姫原が天文部です。
※双子はずっと一緒に暮らしてる双子です。
※ヒロシが姫原の性玩具になってるのはかわりありません。

わーいもうそうたのしいな!
これ、今後も色々とかくかもしれない・・・いいんだい!自己満足だい!


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「雲の流れが速くて、星が見えないや・・・」

(目の前に広がる海は、吸い込まれそうな程真っ黒で
 荒ぶる波はまるで、空から広大な山脈を見ているようだった。
 船が揺れて、少し気持ち悪い。だからいつ吐いてもいいように、
 手摺にへばりついているわけだけど。

 ぼうっと見ていると、目の前が全部真っ黒になっていく。
 まるで・・・)


「ブラックホールみたいだね」
「あ、八王子先輩」
「沼田、調子はどうだい?」
「だいぶ良くなってきました。もう大丈夫です・・・」


(先輩と2人で、空を見上げる。
 相変わらず風が強いせいで雲の流れが速い。
 綺麗なはずの星空もおあずけだ。)


「今はまだ九州のあたりだろう。A県に着くのは明後日の朝だから、
 明日の夜もまた星を見に来よう。」
「ハイ!」


(ニッコリと微笑む先輩につられて、僕も笑顔になる。
 ふと、その後ろ・・甲板の少し遠くの方に、目立つ人影が見えた。
 真っ黒な空と海の真ん中に、ぽつんと黄色い頭。)


「あっ・・姫原。」
「・・・・・・・」


(僕が名前を呼ぶと、相変わらず海を見たまま、不機嫌そうな顔をする。
 『今更気づいたのかよ』といっているように見えるのは、僕の気のせいだろう。
 八王子先輩が振り向くと、さらに眉間の皺が深くなった。)


「やあ、姫原も星を見にきたのか?」
「・・・・・チッ」


(ちらりと横目で先輩を見て、わざとらしく舌打ちをする。
 2mくらい離れて、しかもこんなに波の音がうるさいのに、
 それでもこんなにハッキリと聞こえる舌打ちができるなんて、少し凄い。

 姫原の態度に先輩は苦笑して、僕に向き直った。)


「沼田、風も強いし寒くなってきたんじゃないか。中に戻ろうか?」
「あ、いえ・・中に入ったらまた気持ち悪くなりそうなので、
 もう少し風にあたっていようと思います・・冷たくて気持ちいいんです。
 先輩は先に中に戻っていてください」
「それなら、僕ももう少し付きあわせてもらってもいいだろうか。」
「・・・ありがとうございます」


(夏休みももうすぐ終わり。僕たち天文学部は、
 沖縄に1泊、船の上に往復で4泊という長旅で、夏合宿をしている。
 今はもう帰りの船で、昼に那覇を出て、もう6時間も船の上にいる。
 そういえば今回の夏合宿で、受験を控えた3年生で参加しているのは
 元部長の八王子先輩だけだった。)


「でも、嬉しかったです。今回の合宿に先輩が来てくれて、僕すごく楽しかったから」
「えっ・・・」


八王子の頬が赤く染まり、姫原の眉間の皺が、さらに、さらに深くなった事に、
ヒロシが気づくことはなかった。

(そういえば、姫原も本当は今年受験のはずなんだよな。留年しちゃったから・・・。
 なんで留年したんだろう姫原。頭だってあんなに良いのに。
 ・・・星だって、そんなに好きなようには見えないのに、ちゃんと合宿にも来てるし。
 ・・・・・僕がこんな事考えても仕方ないんだけど・・・
 なんだか気になっちゃうんだ・・・あんな事されてるのに、僕おかしいのかな。
 姫原の事が気になるなんて・・・知られたらきっと、気持ち悪がられるんだろうな。)


「あれ?あそこ・・・点野先生だ。あと、あの人は確か、先生のお兄さん・・・だよね。」



PM 19:30



「兄さん。こんなことは、もうこれっきりにしてくださいね!」
「い、一味・・・」


ヒロシ達の少し離れたところで、容姿の良く似た男2人が、なにやら言い合っていた。
眼鏡をかけている方の男はヒロシの学校の教師、点野一味。
本来天文部の顧問は別の教師だが、急病ということで、代わりに引率として合宿にきていた。
その点野に、弱弱しい表情ながらも強い口調で食い下がる男は、青田征司。


「でも、一味を一人にしておくのが兄ちゃんは心配なんだ。」
「兄さんは僕の事を心配しているんじゃなくて、自分が一人になるのが心配なんでしょう?」
「そっ、そうだ!1人でいると、昔っから何かと、誘拐されそうになったり
 痴漢されそうになったり突然知らない奴が告白しにきたり・・・しかも全部、男だ!」
「そういう目に会いたくないから僕と一緒にいるっていったって、
 今は仕事中なんです!天文学の合宿なんです!僕は顧問代理なんです!
 大体教師の兄が、たった5泊の合宿についてくるなんて・・生徒がどんな目で見ていたか。」


呆れたようにため息をついた弟・・・一味の言葉に、兄の征司が大きく反応する。


「ほーらみたことか!一味だって一人になれば、そういう変な目で見ている奴らに
 突然何されるか解ったもんじゃないんだぞ!?」


明らかに「どんな目」の意味を勘違いしている兄に、一味は大げさに頭を振った。
ああ・・この妙にヒステリックな兄を、誰かどうにかしてほしい。
良い兄なんだ。良い兄なんだが、他人の、特に男が絡むとなぜこうも・・・。


「そういう『変な目』で見られたことは、僕は一度もありません。
 兄さんは昔から、自意識過剰というか、被害妄想気味なんですよ。」
「なっ・・俺が嘘を言ってるっていうのか、一味!」
「そ、そういうわけじゃないですよ。あぁ、もう、なんて言ったらいいんだか・・・
 ほら、他のお客さんの迷惑にもなりますし、大声をださないでください。」
「む、むう・・・・」



PM 19:33



「沖縄はいいんだけどなあ~。」

派手なアロハシャツにハーフパンツ。ビーチサンダルを履きこなしたその男を、
誰が有名国会議員の息子だと、そして仕事帰りのサラリーマンだと思うだろう。


「ゴーヤがなあ・・ピーマンの次に嫌いなんだよ、俺。
 でも沖縄で食べ物取材っつったら、食わなきゃいけねえもんなあ。」
「大泉ぃ、もう終わったことだろ?大丈夫ちゃんと美味そうに食えてたよ。」
「美味そうに食えてたかどうかが問題じゃねえんだよ。
 食いたくねえんだよ俺は。おい、沖縄はいいけど、
 もう二度とピーマンとゴーヤを食う仕事まわすんじゃねえぞ!」
「ハイハイ。上によおく言っておきます。」


今をときめく人気アナウンサー大泉眞吾は、今回仕事で沖縄にきていたはずだった。
だが、取材が終わったかと思えば2日間サーフィン三昧の遊び放題。
他のスタッフが帰る中お目付け役として残されたカメラマンは、
大泉のこういった愚痴には慣れっこだった。同期のため付き合いは長い。


「ところで、なんでフェリーなんだあ?いや別にいんだけどよ。
 どうせならもっと豪華クルーザーにしてほしかったっつーか。
 局も気がまわらねえよなあ~。飛行機ならピューンって2時間なのに。
 なあ?お前もそう思うだろ。」
「あ?あ、ああ・・・」
(言えない。お前のワガママから少しでも長く開放されていたい
 プロデューサーの必死の策だとは、俺は言えないぞ。)」

「あっ、あーそうだ、俺カメラ部屋に置きっぱなしだ。」
「あ?カメラなんて重いだけだろ。」
「何言ってるんだよ!いつ何時、事件が起こるかわかんねーんだぜ。
 カメラはカメラマンの命なんだから。俺、とってくる。」
「潮風ってあーいう機材に悪いんじゃねーの?」
「さっきまでどこで取材してたと思ってんだよ。」

てきぱきときびすを返し、まるで愚痴から逃げるように、
船の中へと走るカメラマンの背中に、大泉は「おい、俺の上着ももってきてくれ」と
叫ぶが、一際大きな波が船にぶつかった音で、果たして聞こえたのかどうか。


「はー。しかしアイツは根っからカメラマンなんだなあ。
 仕事にそこまで熱心になれるもんかね・・・うう、さぶっ」



「ん、この船のドア、重いよな。潮で錆びてんのかな。よいしょっと。」

ギギギ、ガゴンと、白い塗料の剥げた鉄の扉が開く。カメラマンは船の中へと消えていった。
ドア脇の壁にもたれながらそれを横目で見ていた男は、
自分の横を人が通る事を・・電話の内容が聞かれる事を避けるように手摺側へと移った。



PM 19:35



「・・・ハイ。こっちで聞けたのは、これで全部です。
 沖縄まできた甲斐があったってもんでしょう?」


さっぱりした短髪に、色黒の肌。がっしりと鍛えられた体をしている。
警察のマークが縫い付けられた上着を着ていなければ、船員と間違えられたかもしれない。


「・・・ハハ、アイツ船酔いが酷くてトイレに篭りっぱなしですよ。
 俺ですか?大丈夫です。でも、確かに・・・ええ。船の揺れが酷いですね。波が高いです。
 え?・・・じゃあ、明日は雨の船旅かもしれませんね。残念だなぁ」


空を見上げる。流れの速い雲の隙間から綺麗な月が見え隠れしていた。

高浦茂は刑事だった。とある事件を追っている中、重要参考人が沖縄那覇に居ると知り
同僚と共に足を運んだ。行きは、快適な飛行機だったのだが。


「そんな、謝らないで下さい!自分は船好きですから。・・・・・・ハハッ
 そうですね。アイツには謝った方がいいかもしれませんね。
 予算が無いのはわかってますとも。大事な税金ですからね。少しでも節約しますよ。
 ・・・・・・はい。・・・ええ。気をつけて帰ります。ありがとうございます。
 そうだ。岡田さん、ちんすこうはお好きですか?」





PM 19:39



乗員乗客40名、大型フェリーマスカレード号。


その時、

甲板には7名の男が立っていた。




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で、事件発生です。
満足満足だ。お兄ちゃんは間違いなくコミカル要員。よし寝よう。
最近昼と夜が逆転しちゃってるな・・もうすぐ学校なんだから戻さなくちゃー。

ところで、最近CMでやってるパチンコの、ソバ屋のゲンさん?の声がさ。高浦さんな気がする。なんでも高浦さんにきこえてしまうんだろうか。サーセンwww

2007.08.29 | Comments(0) | SS

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