バレンタイン(ヒロ点)
バレンタインは2つくらいアップできればいーなー!
ヒロ点ヒロです!!めずらしくほのぼのです!!!
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「点野先生、チョコレート何個もらいました?」
今日も今日とて点野のアパートに入り浸るヒロシは、
まるで母親が息子に尋ねるかのように、料理をしながらそう聞いた。
点野は悩んだ。
まだ生徒ということで大っぴらにはその気持ちを伝えていないとはいえ、
互いが恋愛感情という意味で好き同士だと解っている相手に、
自分がもらったチョコレートの数を果たしてちゃんと言っていいものなのだろうか?
もごもごと部屋着に着替えながら考え、タートルネックから頭を出した時には
ヒロシが目の前で膝をついて座っていた。笑顔で。
「そういう沼田は何個もらったんだい?」
「えへへ・・・実は」
じゃーんと言いながら、ヒロシが後ろに隠していた手を前に出すと、
左手に大きな包みが一つと、右手に小さな駄菓子のチョコが2個乗っていた。
「今年は3個ももらっちゃったんです。1つはお母さんからで、
こっちの2つは、クラスの全員にあげる女子からもらったんで、全部義理ですけど。
中学校上がってから数年で、1番もらえたんです!」
微笑ましい。実に微笑ましい。
こちらまで嬉しくなってしまうくらい微笑ましい。
そして、どうやらさっきの悩みは取り越し苦労だったようだ。
点野はにこにこしながら、「そうか、すごいじゃないか」とヒロシの快挙を喜んだ。
「それで、先生は何個貰ったのかなって。」
「僕はねー。英語の佐藤先生と、家庭科の田中先生から頂いたよ。
男の先生は全員貰えるやつだから、僕のも義理チョコだけどね。」
「僕の方が1個多いですね?」
「ん?そうだなあ。なんだか負けちゃった気分だなあ。勝負なんてしてないけれど、
こういうの学生の時は友人達といつもやったよ。
まあ毎年同じような結果だけれど、男としてはねー・・・ん?」
しみじみと懐かしんでいると、ヒロシがもじもじとしている。
どうかしたのかと尋ねるとはにかんだ笑顔を返してきた。
「実はあの、僕いままでこういう事する友達いなかったので、
こうやって貰ったチョコの数言い合うの、嬉しいんです。」
「沼田・・・・」
「こ、恋人とこういうのって、変かもしれないですけど・・・・」
「恋人」という言葉を言っていいのかどうか、躊躇したのか少しだけ声が小さくなり
顔を赤くするヒロシにつられて、点野も耳まで真っ赤になる。
やっぱり、一応、「恋人」だったんだなあと、点野は改めて認識した。
どうにも曖昧というか(曖昧にしていたのは自分だったんだけれど)、今日にしたって
やはり恋人なら妬いたりするものだろうから。
「恋人・・なら・・・・沼田は・・・・・」
「え?」
「僕がチョコレートを貰って、その、妬いたりしないの・・・かな?」
「・・・妬いて欲しいんですか?」
「そ、そういうわけじゃない!けど・・」
「先生慌ててる。可愛いです」
「だから、大人をからかうんじゃない」
ヒロシはひととおり点野をからかった後、クスクスと笑いながら
「だって、バレンタインって女の子だけのイベントじゃないですか。
僕達はほとんど関係ないでしょう?」
「え?」
「僕達男にはほら、ホワイトデーがあるわけですし。」
「・・・?」
「点野先生、ホワイトデーには僕以外の誰にも、プレゼントあげちゃだめですよ?」
点野が違和感を感じ、頭にはてなを浮かべている隙に、
ヒロシは慣れた仕草で点野の頬に唇を落とした。
その感触に、点野ははっと我に返り、驚いて飛び跳ねる。
「ぬっぬっぬまた!!」
「ふふ、先生、ご飯食べましょうか。チョコレートはその後にしましょう」
ヒロシは点野の手からチョコレートを抜き取ると、
自分の貰ったチョコと重ねてちゃぶ台の上に乗せ、台所へ向かった。
後日。
バレンタインは「女の子が好きな人にプレゼントをする日」であり、
ホワイトデーは「男の子が好きな人にプレゼントをする日」だと
ヒロシが微妙な勘違いをしている事に点野が気付くのは、
ホワイトデー当日になってからの話である。
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あれ?考え段階では、ヒロシが3つチョコもらったんで点野先生が「沼田はモテモテだな~」とか言って、でもヒロシが点野先生にチョコあげて、「点野先生もモテモテですねv」とか言って、アホみたいなバカップルを見せ付ける小説だったはずなんだけど・・・!
まあいいか!
2007.02.14 | Comments(0) | SS