TSTイブというか、前夜祭というか。
部下1、2、3、岡田さん、山崎さんの話です。
ぶっちゃけもう殆どオリキャラなので、後編の岡高SSはこの前編読まなくても大丈夫な感じにはなっているはずです(笑)というか後編のプロローグ的なもんなので、山場も何も無いです。お暇な方はどうぞという感じで。
話は「終・バレンタイン」の続きとなっておりますー。一応、ソドム教END後の話。ソドム教は出てきませんが、あれだ。誰も死んでませんが、同僚輪姦イベントはこなしてますよって事です!
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それは、とある2月も二十日を過ぎたある日の事。
「高浦の誕生日パーティ?」
一宮の素っ頓狂な声に、三島と岡田の耳がぴくりと動いた。
「ええ。この前の夜高浦さんと寮のロビーで話してたんですけど、
来月の14日高浦さんの誕生日なんだそうですよ。」
コロコロのついた椅子で器用に一宮の側に近付き、
まるでいたずら話をする子供のように楽しそうにそう言う二村に
呆れた顔を見せた一宮だが、椅子をくるっと回して話を聞く姿勢をとる。
そこに、苦笑いのような、だが何故か頬が緩みきるのを抑えているような
不思議な表情の三島が2人の話に割り込んできた。
「パーティって、二村、小学生じゃないんだから・・・」
その言葉にうんうんと頷く一宮。だが二村も負けじと食い下がる。
「でも約束しちゃったんです。『パーティしてあげますよ!』って。
そしたら高浦さんも『そうしてくれ』って言ってくれたんですよ。」
「それはお前、高浦だって本気にはしてないだろう」
「俺もそうは思いますけど・・・」
チラ、と、二村が三島の顔を伺った。
二村の中では、このパーティにはもう一つ大事な意味がある。
あの事件以来、どこか高浦とぎこちなくなっている三島や岡田を
前のように普通の、良い同僚の関係に戻してあげたいという気持ちがあった。
(それは二村の微妙な勘違いなのだが。)
「なあ二村。俺の勘違いだったら悪いが・・・」
「え?」
一宮が身を乗り出して、二村に顔を近づける。
「お前、もしあの事件の事を気にして、高浦に妙な気を使っているんだとしたら、
それは大きなお世話ってもんだぞ。高浦はなるべくそっとしておいて欲しいんだ。
自分にだけ特別な事をせず、皆と同じように扱って欲しいって思ってる。
誕生日会なんて、他の奴らにはやらないだろう?」
「そ、それはそうですけど・・・でも約束しちゃったし・・・」
しょぼくれた二村の肩を、三島がぽんと軽く叩いた。
「それに、俺達が祝わなくても、高浦だってその・・
お祝いしてくれる彼女とかいるだ」
「「それはありません。」」
一宮と二村がハモる。
三島はそれに驚くと、次には頬に、再びおかしな笑みを浮かべていた。
「え、そ、そうなのかい?いないの、彼女?」
「高浦からそういう話は一個も聞かないなあ~。」
「バレンタインに1個もチョコ貰えなかったって凹んでましたし。」
「あ、これ言っちゃまずかったかな」と口を押さえた二村だったが、
一宮はどこか高浦を哀れむような笑顔を、三島は相変わらずの笑顔を見せている。
「とにかく!お誕生日パーティはやめたほうがいいと思うよ。」
生き生きとそう言う三島に、二村は首をかしげながらも「そうかなあ」としぶっていた。
先ほどからの三島の不自然な反応には、もちろん理由がある。
三島は同姓ながら、高浦にほのかな恋愛感情を抱いていた。
高浦の先輩であり、一緒に行動することもそうそう無いという身から
踏み込んだ話をする事も無いせいで、誕生日や彼女の事なんて知らなかったわけだけども。
三島は心の中でガッツポーズを掲げていた。
ちょっと二村には申し訳ないが、ここで一気にホップしたい。
高浦と2人きりで誕生日を祝うのだ。さりげなく、飲みに誘ったりなんかして。
その後のステップ・ジャンプをどうするかだが・・・え?ジャンプ?
ジャンプの段階になると、どうなるんだろう。何しちゃうんだろう。
「三島・・・さん?」
「え!?あ、いや、なんでもないよ!」
「何ニタニタしてるんですか・・・」
訝しげに三島の顔を覗き込む一宮に気付き、三島は緩んだ顔を引き締めた。
二村と違い一宮は、三島の挙動不審の理由に感付いてはいたが、
それをあえて追及しようとか、非難しようと思ったことは無い。
しかし良しともしていなかった。ただ一つ確実に言えるのは、
自分は高浦の”一番近いところにいる友人”でありたいということだ。
三島の事は嫌いではないが・・・思わず目を逸らし、ため息を付く。
「(高浦に普通の恋人ができるのはいいけど、男が恋人になるくらいならー・・)」
ガタン!
「「「!!」」」
窓際で書類を整理していた山崎が席を立つ音で、一同が一斉にそちらを向いた。
ここに居るのは自分達だけではないのだ。
ぱっと顔が赤くなり、誰かが「さー仕事仕事」と、椅子ごとくるりと背を向けると
3人はそそくさと自分のデスクに戻っていこうとする。
だが、どうやら山崎はこちらに向かってきているらしい。
「お前ら。」
「は、はい!」
山崎さんは仕事中の私語に厳しい方ではないし親しみやすいが、
自分達の歳と同じくらい刑事をやっている人に対してはどうにも萎縮してしまう。
3人は山崎を前に、膝をそろえた。
「高浦の誕生日会、やってあげてくれんか。」
「「「は?」」」
「実はなー・・・・」
30分後。
上に解決した事件の報告に行っていた岡田が帰ってきた途端、
二村をはじめとする一宮、三島が一斉に飛びついてきた。
「岡田さん!」
「な、なななな何だお前たち!!?」
「岡田さん、高浦の誕生日会に出席してくれますよね?ね!?」
「高浦の誕生日会?」
「ホワイトデーなんて、彼女持ちの奴らの予定がいっぱいで!!」
「岡田さんは暇ですよね!ね!」
「失礼な奴らだな・・・」
一応、仕事とか色々あるし、本命ではないにしろ返す者が居ないわけでもないのだ。
「しかし何故突然、高浦の誕生日会なんて」
「それはですね!」
かくかくしかじかこれこれうまうま。
事の発端から、山崎に聞いた話をそのまま伝えると、
岡田も断り辛そうな様子になってきた。もう一押し!
特に二村が張り切っていた。最初に計画していた事が実現しそうなのだ。
そう、これは高浦の誕生日会であり、岡田・三島と高浦の間の溝を埋める会なのである!
(何度も言うようだが、二村は2人の意識についてとてつもない勘違いをしている。)
「今年は高浦に、楽しい誕生日をおくらせてあげたいんです!」
「彼女のいない男だらけのむさ苦しい誕生日が楽しいかどうかは別として。」
「この場合2人よりは大勢の方が、高浦は喜びそうですし・・・」
最後の三島に元気が無いのはなぜだろう。
とりあえず、話は解った。
「・・・3月の14日、か。」
高浦の欲しいものなんて見当がつかない。
ならば、自分達が高浦に一番あげたいものを。
誕生日プレゼントを選び慣れた者、
人にプレゼントを選ぶのなんて数年ぶりという者も居たが、
皆それぞれに高浦の笑顔を思い浮かべながら
暇な時間を見つけてパーティの計画なんかを練ったりしていた。
そして
遂に明日は、高浦茂のお誕生日である!!
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やまなしいみなしおちなしです。明日へ続く。
山崎さんかくの好きになってきました(笑)
あーーー遂にあしただーーーー!!!ドキドキドキ!ケーキどんなん買おうかなー!
2007.03.13
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